菊池は変に律儀なところがあり、中学生の頃にタバコを吸うこともなく、AVは18歳になった日に初めてビデオレンタル店に借りに行き、お酒は20歳まで一滴も飲まなかった。
ちなみに、AVは17歳最後の日に入念に下見をし、借りたいタイトルを3本厳選した上で誕生日当日にジャッキーチェンの名作2作品に挟んで、ジャッキー/♡/♡/♡/ジャッキーとカウンターに持って行ったが、
ジャッキーチェン、ぴっ、通過!
♡…ぴっ…ピーーーー
「あー、あの、データ処理の都合でこちら借りれるの明日からですね」
と言われてジャッキーチェン2作品だけを借りて帰ったくらい律儀だ。
そんな彼は20歳の誕生日、何故かこの日に決めてパチンコ店でのスロットデビューを果たす。(パチンコ店は18歳以上の高校生以外からOK)
当時は千円札のみ受け付けるタイプのサンドが主流で、少し緊張気味にサンドへ、高ぶる気持ちを抑えながら千円札を投入し、コインを借りたことを覚えている。
機種は散々練習を重ねた【花火百景】
千円で50枚しか出てこないメダル。
「す、少ないな…」
まるで命を燃やすかのように1枚1枚に思いを通わせ、丁寧にプレイしていくが、音楽と同様に緊張は自然とテンポを早めてしまう。
音楽では意図しないテンポアップを「走る」というが、初めての花火百景でも同じことが起きていた。
あれほど練習した通常時の小役回収打法が出来ない。緊張から早く押してしまう。幸か不幸か数千円でBIGボーナスを引いたが、揃わない揃わない。何故か皆が見ているのではという気がしてプレッシャーが凄い。
ハズシはおろか、15枚の払い出しを受けるのに必要な3連ドンすらミスってしまう始末。
悔しさでそのコインを流して僅か1時間足らずで退店し、初めてのスロットは収支的には辛うじてプラスだったが、ほろ苦いデビューとなった。
果たして今このブログを読んでいる貴方には、この男が後に3000万円以上勝つ片鱗が見えるだろうか。恐らく見えていないだろう。
しかし実際に彼は稼ぎだす。
スロット1本で3000万円という大金を。
第8話へ続く↓↓↓