2018年秋。今の時代に狙うハイエナ台と言えば凱旋やハーデスの天井くらいなもので、店舗によっては北斗の拳 転生のあべしチェックが出来るかどうか。その他は基本的には「設定狙い」が勝つすべに他ならない。
実はこれはいつの時代にも共通して言えることで、ストック機全盛期の時代に天井や天国、天国準備などの概念が増え、その瞬間瞬間の期待値が跳ね上がったことで「設定を狙う」から、「ゾーンや天井を狙う」へと打ち手のスタイルが変わっていった。
昨今それがし辛くなった背景から「スロットは終わった」と囁かれるが、設定を狙うことにまた戻っただけの話なのだ。
そんなハイエナ全盛の時代にあって、天井手前数ゲームで辞めそうな菊池を惜しげも無く引き止めた柳川。
今の時代とは比べ物にならないほどチャンスが転がっていたとはいえ、1度話しただけの男にそれを行える人間はそうはいないだろう。
ネオマジックパルサーの天井の存在を教え、少しでも負債を取り返せればと打つように指南してくれた柳川を、菊池は1杯奢らせて欲しいと夕食へ誘った。
すると柳川は「いいっていいって!いっぱい負けたろ?俺が奢るから飯いこうよ」と続け、「でもデータ取りがあるから閉店後ね!」と言った。
(データ取り??)
と菊池は疑問に思ったが言われるまま閉店まで待ち続け、閉店前の柳川の作業にしばし見入っていた。
ポチポチとデータランプを操作しながら時にコインを1枚投入したりして何かを携帯にメモっていく。そして、よく見るとそういった人間が柳川だけでなく何人もいる。
足早にデータ取りを済ませると「菊池くん、次行くよ!」と店の外へ連れ出された。
「次って??」
「残り2店舗取るから早歩きで!」
菊池の住んでいた東中野には3店舗のパチンコ店が駅前にあり、その全ての台のデータを取るというのだ。
全てのデータを撮り終えた後、2人は近くのステーキハウス「おなかいっぱい」へと入り、お互いの身の上話をはじめた。
年の頃やこれまでの経緯、そして柳川のスロットに向き合う姿勢を聞き、菊池は激しく共感すると共に、人生とは知らない世界が無限に広がっていて、どこへ行ってもその道のスペシャリストが存在し活躍している。その奥深さに心踊らせられるだけの熱量が、【スロット】には確かにあった。
そしてこの夜をきっかけに、菊池のスロプロとしての幕が上がる。
第11話へ続く↓↓↓
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