新世紀エヴァンゲリオンが世に送り出され、それに続く形でサクラ大戦が設定1or6の2段階でリリース。
そして小役との同時当選を実現しデビルマンが登場したが、全てにおいて、スロプロ達は更に息を呑む展開となる。
この日も菊池達は変わることなくいつものノリ打ちを行い、1ゲーム連や天国など絡めて2時間ほどで大量のコインを獲得したあとに、各々夜のデータとりまで自由時間となるわけだが、柳川と町田は5号機の各機種を触っていた。
数時間打ち、設定も低かったのだろうが珍しく打つのを辞めなかった柳川が深く息を吐くかのように言った。
「このままではいよいよ終わるぞ…スロットの時代が…」
菊池はそんなことは考えてすらいなかったので驚きながら訪ねた。
「終わるって…どうして??」
「すごく展開的にはキツかった、なのに6,000円しか負けてない。4号機に比べりゃ苦痛で苦痛で仕方なかった。なのにこれしか負けてないってことは、だ…」
菊池は唾を飲んだ。
「恐らく設定1を打ったんだよ。なのにこれしか負けないならば、お店はいずれ今のように設定を使えなくなる。そうなれば皆がこれを歯を食いしばって打つか、スロットを辞めるかの2択だ…そして多くは辞めるだろう。」
「お客さんが減ってまたお店は設定を使えなくなって…」
菊池にもそれは容易に察することが出来た。
「そう。そういうこと。スロプロなんかいなくなるぞ。」
柳川の表情がスロット業界の行く末を暗示しているかのように曇っていた。
暗雲立ち込めた2005年。
パチンコ店もプロ達も皆一様に不安を拭えずにいたが、それを振り払うかの如く様々なイベントや過熱した高設定バトルによる各店舗の生き残りをかけた集客合戦がはじまり、それに打ち手も熱狂することで夢の中を彷徨うかのように、ただひたすらに最後の花火を楽しんでいたようだった。
第44話へ続く↓↓↓