燃やせ エンタメ魂

パーフェクトヒューマンを演じ続ける男のブログ

エンタメ魂67

アラブ湾岸諸国ツアーでのスケジュールは割と過密であった。基本的には「移動日」「リハーサル日」「本番」「フライト&移動日」「リハーサル日」「本番」「フライト&移動日」と以下繰り返しながら工程をこなしていく。

ワールドコンサートツアー」といえば響は良いが、日本国の代表として行くからにはその名に恥じぬパフォーマンスが求められる。

 

特に最初のコンサートを控えたイランでのリハーサルは、音響照明などのスタッフの確認作業も多く、演奏家たちの各国における湿度や気温の関係から楽器のコンディションのチェック、また楽曲の合わせなども入念に行われる為に丸一日を要した。

 

更にその日の晩には大使館で歓迎セレモニーと晩餐会が開かれる。

 

何故か主だった料理が日本食で、せっかくアラブに来たのだから…というような気持ちもなくはないが、大使館領土内ではアラブ諸国とはいえお酒も振る舞われる為、楽しく宴は盛り上がっていった。

 

おもむろに舞台監督の東川が皆を集めてこう言った。

 

「今回は日本の伝統楽器のスペシャリスト達が揃っています。明日のコンサートはどうぞ存分に楽しんでください!」

 

通訳が入り、イラン人の招待客も大いに拍手を送っている中で、更に東川は続ける。

 

「と、明日の演奏の前に、今回はなんと、クローズアップマジックの天才も連れてきています!」

 

と言い放ったのだ。日本国側の列席者や大使もそんなサプライズが!と湧き上がる中、東川はにんまりと笑いながらむちゃぶりを成功させ菊池のほうを見ている。

 

しかし菊池はこれっぽっちも動じることなく、おもむろに右手を左胸ポケットにやりながら忍ばせていたカードを取り出してみせ、皆の前に躍り出たのだった。

 

すれ違いざま東川が

「絶対準備してくれてると思ってたよ」

と耳元で菊池に呟くと

「どんな時だって期待には応えたいですから」

と笑いながら程よい高さのテーブルの前に立ち、真っ白なテーブルクロスの上にトランプを広げてみせ、菊池としても初めての外国人へのマジックショーが始まった。

 

 

第68話へ続く↓↓↓

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