燃やせ エンタメ魂

パーフェクトヒューマンを演じ続ける男のブログ

エンタメ魂71

アラブ湾岸諸国ツアーへは「MUSA」というチームを組んで回った。和太鼓、津軽三味線、箏のチームだが現在の「縁」とは全てメンバーが異なり、このツアーを行う為に集められた集団だった。

個々の能力は申し分なかったが、楽曲制作も含めて相当数のリハーサルを積んできてはいた。それでも初戦の緊張感というのはかなりのものであった。

 

箏の世界では基本的に指揮者がいないため、演奏開始の合図は鼻息を「スっ」と勢いよく吸い込む音に体の上下運動をテンポに近いタイミングで行うことで、それを基準に皆で合わせて弾き始める。

 

菊池は心を落ち着かせるようにゆっくりと呼吸をし、体を深く沈み込ませ次の瞬間「スっ!」と息を吸って合図を放った。

 

一斉に日本一の演奏家達が奏でる「日本の心」とも言うべき和の音色が、本国より遠く離れたイランの地に鳴り響いた。

 

日本の伝統音楽が受け入れられるのか否か。

その答えは1曲目が終わるまでもなく、すぐに分かった。

 

全ての音が重なり合った瞬間に割れんばかりの拍手と歓声があがったのだ。

抑えきれない感動を素直に表現する海外のお客様達の反応は凄まじく、演奏家たちに物凄いエネルギーを与える。そして、それに気を良くした演奏家達はさらなる120%のパフォーマンスを繰り広げていく。

結果そこには素晴らしい音楽の世界が出来上がるのだ。

 

菊池は小袋の方を見てニヤリと微笑んだ。小袋もそれを見て頷いた。確かな手応えがそこにはあった。

 

 

第72話へ続く

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