燃やせ エンタメ魂

パーフェクトヒューマンを演じ続ける男のブログ

エンタメ魂73

イランでのコンサートを終え、ホテルに戻ると翌日のフライトへ備えて荷造りをする…予定は変更され、超VIP待遇のある種警備の厳重な中、外交官やスタッフの目を盗みドラゴン龍原と小袋と3人でいわゆる夜の街へと繰り出した菊池。

 

夜の街へ繰り出す、とはいえ、ここは遠くアラブの地。歌舞伎町で遊び歩くということが比べ物にならないくらい、半端な緊張感ではなかった。

 

まさかイランの地で夜の街へ繰り出すことがあろうとはいつどの時代の菊池自身も想像し得なかったわけで、また恐らくこの先の人生において二度とない貴重な体験であったろうと菊池は振り返る。

 

まず、アラブの地ではお酒がない。

これは国民の大半がイスラム教である為、宗教上当然のことである。また、日本人が考えるよりも遥かに宗教への信仰は崇高であり、隠れて飲もうなんていう発想は、少なくともよそ者の菊池達には伺えなかった。

 

がしかし、クラブのようなものは存在した。

 

そしてそこは異常な盛り上がりをみせていたのである。

 

少しその様子に圧倒されつつも、店の中へと入っていきカウンターでお酒を、否、コーラを注文。しばし煌めくライトの中で踊るアラブ人を、小袋と共に眺めていた。

 

そこへ同じく注文したドリンクを片手に龍原が話しかけてくる。

 

「異国の地って感じだねぇ。こんな体験は滅多に出来ないから、思う存分楽しもうよ。とりあえず初戦お疲れ様!乾杯!」

 

日本では連日のように「アラブ人の怖いイメージ」が報道され、あたかもテロリストは皆一様にアラブ人なのだといった先入観さえ持たせてしまい兼ねない偏った情報の中にあって、いざ来てみれば、日本人のそれと等しくそこには一時を楽しむ人間の姿があるだけであった。むしろそれは、日本よりもより死が身近に感じられる国だからこその、弾ける笑顔があったのかもしれない。

 

 

「Hey」

 

と1人のアラブ人が話しかけてきた。

 

しかも女性だ。

 

 

第74話へ続く