町田と2人、意気揚々と戦国無双の島へ出向き、毎日戦国無双のみを打っていた常連と3人でこの日も朝から6を己が手に掴まんと打ち出していく。
戦国無双はボーナスにほとんど設定差がなく、とにかく“重たい”という表現がぴったりで、BIGとREGを合わせても設定1で1/288、設定6でも1/268であった。これは純増1枚の戦国ラッシュが次回ボーナスまでの無限ARTに昇格することが最大のセールスポイントであったが為である。
無限ARTに昇格してもボーナスが“軽く”すぐ当たってしまえばそれは興醒めであろう。無限ARTを引き当てた時に1000ゲーム以上ボーナスを引かないことがある種の喜びであり、楽しさであった。
しかし、肝心の戦国ラッシュへの突入契機はボーナスしか存在しない。つまり、通常時にボーナスが引けないととんでもないことになる。
この日の菊池は由々しき事態。
まさに“それ”であった。
「今日は6ツモれるかな〜」
なんて軽い発言が台に聞こえたわけではないだろうが、500ゲームを超え、800ゲームを超え、どうにもボーナスが当たらない。
まぁこの辺まではよくあると言えばよくあるハマりだが、それでも設定差のあるチェリーからの高確以降率は抜群で、ボーナスこそ引けていないが6に期待できる状況に悪い気はしていなかった。
そしてあれよあれよと1059ゲームの天井に到達する。戦国無双の天井はボーナスやARTを放出してくれるものではなく、次回のボーナスが高確率状態、というだけのもの。言わば無限ARTに入れるチャンスが貰えるだけなのだ。
まぁそれでも幾分気持ちは楽になるから天井というのは不思議なもので、さぁあとは当てるだけと菊池は帯を締め直した。
が、当たらない。
とにかく当たらない。約20%でボーナスとなる通称リリチェ(特殊リプレイ)が何度ハズレたことだろう。気がつけば1500ゲームを突破。投資も5万円を超えている。しかし相変わらずチェリーからの高確以降率は良い。
一足先に設定探しをやめていた町田が菊池に話しかける。
「きくっつぁん、さすがにそれが6だとは思うから頑張りなぁ」
このイベントでは主に全体の中で1台しか6がなく、菊池以外の台は判別され終えて空き台になっていた。
「頑張るよ…2000ゲームまでには当てたいな」
と笑って見せたが、この日の腕の腐り方は尋常ではなかった。
第81話へ続く